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子育て⑦『大人の何気ない言葉と行動で子どもは育つ』

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子育て⑦『大人の何気ない言葉と行動で子どもは育つ』

久々の電車、いつものように優先席に座り、向かい側の座席を見ると若者が3人、揃ってスマホを見ています。

ここは優先席だよね。ペースメーカーをつけている人がいるかもしれない。

せめて、気を遣ってほしいよね・・・。と思っていると、その内の2人は次の駅で降り、乗ってこられた方が、空いているその席の前でこんな会話を始めました。

祖母: (夫に)ここ、空いてるわよ。座ったら?
祖父: 優先席だよ。(と辺りを見回してから)俺は座ってもいいか・・・。(多分、年齢的に)
祖母: (孫に向かって)○○君、おじいちゃんの隣に座りなさい。お年の方がいらしたら、立てばいいから。
少年: 立っていた孫は、『うん。』と言ってはにかんだ様子で座る。
(優先席に座ってもいいのかな?でも、祖母の言葉に納得した様子)
母 : (スマホをやりながら私の隣に座った祖母の前に立つ)あっ!優先席だね。
離れたところで(スマホを)やらなくちゃ!(と言ってドアの近くに移動する)

取り敢えず、たったこれだけのこのご家族のやり取りから、何を感じますか?

私はいたく感動したのでした。
こうやって他を気遣う言葉や行動が自然と出てくるなんて、やっぱり心打たれますでしょ?
我れ先に(という感じで)、優先席に座る若者(10代~40代)の多い事。
目の前に高齢の方が立っていても、スマホを片手に自分だけの世界に没頭している。
この席に座ったからには覚悟が大切ですね。
先ほどのおばあちゃまがお孫さんにかけた言葉~『お年の方がいらしたら立てばいいから。』~そのとおりですね。座ってはいけないのではなく、同じ車両に乗っている人たちに気を配ることを何気ない言葉で教えてらっしゃる。
小学校の中学年と思しき少年は、いい大人に囲まれて人としての在り方を自然と身に着けていくのだな~と、ハッピーな気持ちになった私でした。

このご家族に関心を持った私は、並んで座っているおじいちゃまと少年のやり取りを盗み見したことは言うまでもありません。
少年が手にしていたバネのような遊び道具がどうやら、絡まってしまったようです。このような場面はよく目にします。
大抵の場合、次ような会話になりがちなのですね。

子: こんがらかっちゃったよ!直して!
親: ちゃんと遊んで!大変なんだよ!これ直すの。
(小言を言いながら直そうとするがうまくいかない)
子: は~や~く~!まだ、なおんないの!
親: あんたがやったんでしょ!静かにして!

という具合にですね、双方がカリカリしてしまう。子どもも待てないし、親もゆったり感がなくなってしまう。ましてや電車の中で、親もスマホやりたいわけです。

ところが!
少年が『あっ!しまった・・・』と言わんばかりにおもちゃを見つめていると、

祖父: どうした。絡まったのか?(と言って直し始める。5分、10分?根気よく、楽しみながら?絡まった状態を元に戻していく)
少年: (こちらも忍耐強く、祖父の手元を見ている。)

そして、完全に元に戻ると、祖父も孫も笑顔で何事もなかったかのようにそこにいる。この安心感、安定感。心がザワザワしていないのですね。お二人とも。
そうそう、この後でしたかしら?背丈がまだ大きくはないので、電車の椅子は疲れるのでしょう。少年がちょっと腰をずらした姿勢になると、おじいちゃまは口で注意するのではなく、少年の太ももの辺りに優しく手を置くのです。

その意味を察することができない子(大人もしかり)だったならば、『何?』とか『痛いな!』とか言うかもしれません。しかし、この少年はハッとして姿勢を直したのです。祖父が言わんとしていることを察したのですね。

心の交流がしっかりとできているご家族に出会い、私の心は暖かなものがジワーっと広がっていったのでした。
気どることなく理性的でありながら、情の熱いご家族。 人間の品性ってこういうことなんだよね・・・と、独り言ちた私でした。

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