自分自身にPTA~『お母さん、今の姿をお子さんに見せられますか!』
『お母さん方、今の姿をご自分のお子さんに見せられますか?
嫌なこと、大変そうな事には関わるな。
お子さんには、そう育ってほしいのですか?』
これは、私が初めて校長として赴任した中学校でのPTA総会で発した言葉です。
市内でも特色のある教育活動は人気で、公立中学校ながら生徒が多く集まる学校でした。(にもかかわらず)PTAの各員会の委員長決めで不測の事態は起こったのでした。シ~ン・・・・・・。刻々と時間だけが進んでいきます。
PTA本部役員から何度も呼びかけがあるのですが、皆、下を向いています。
私は、『これはまずい!』と思いました。
何が?
教育の土台である親の姿勢です。
子どもたちには明るく活発に、そして、できることならリーダー性を発揮してほしいと望んでいるはず。
子どもにだけかい!
そんな身勝手な思いはないでしょう!
子は親の鏡なのです。
まあ、こんな風にですね、私の率直な気持ちをもっと丁寧にお伝えしました。
人は他者を変えることはできないが、自分を変えることはできる。
どうしたことでしょう!
その後は嘘のように、アッと言う間に委員長決めは完了しました。
立候補の手がどんどん挙がり、ジャンケンをしたほどです。
いたわり、ねぎらいと感謝
私はお母さん方の勇気、決意、責任、信頼、愛・・・等々に敬意を払い、これからのPTA活動が有意義で『やって良かった~。』と思える活動にすることを約束しました。それは孤独にならないという事です。そして、教師も同じPTAの会員であることを皆で確認しスタートしました。
PTA活動にあまり魅力を感じない等、PTA離れが進んでいる昨今、私は正直なところ残念でたまりません。
時代が違うと言えば違うかもしれませんが、その誕生について振り返ってみたいと思います。
1800年代後半のアメリカは物こそ豊かであれ、子どもたちを取り巻く環境は望ましいものではなかったのですね。そこで、ある女性を中心に母親たちが立ち上がったのです。やがて、その会は全米的な組織に成長し、全国父母教師協議会へと成長したのでした。
その影響を受けて、日本では1947年(昭和22年)に、当時の文部省がPTAづくりを奨励し、方々でその産声をあげました。
戦後の劣悪な生活環境の中で、どの子どもにも分け隔てなく子どもであることの特権を保証するとともに、健やかに育ってほしいという親と教員の熱い思いが伝わってくるようです。日本最大の社会教育団体と謳われたこともありました。
そう言えば、学校を会場として『社会学級』と銘打った成人の学びの場に、母が
よく参加してたことを思い出しました。今のようにインターネットで何でも手に入る時代ではなかったので、親が自分を成長させたいという気持ちは子どもにも伝わってきます。気持ちと言うよりも、何かからいい影響を受けた後の生き生きとした表情や声、後ろ姿から伝わってくると言った方が当てはまるかもしれません。社会学級のような『成人教育』が重要視されてきたわけは?
大人のため=子どものため
考えてみてください。
家族という狭い集団の中で、『親が憲法だ!』と言わんばかりにその親の価値観だけで子どもが育ったとしたら、その子どもは大人になってから苦労するかもしれませんね。
そして、孤独を抱えている老若男女が世界的に見ても多い我が国です。
20代の自死数は昨年度よりも20%近くも増えて2521人と報告されています。先進国の中では異例の状況です。
子どもたちが小さな頃から、身近な大人の『人との関り方』~自分をどう表現するか、人をどう受け止めるかといったモデルに沿って成長していきます。
子どもの存在を視野において、大人は大人の役割を潔く果たす姿を多くの子どもたちは待ちわびているのではないでしょうか。